第3章 キャラバン準備
第1節 ジョイスティックコントロールカーの購入
Joy Project発足以前に、ジョイスティックコントロールカーを日本で走らせる活動を展開するために日本の法律を調べたところ、日本の法律は車椅子に座ったまま車を運転することを想定していないことがわかった。
1994年11月に参議院運輸委員会において当事の参議院議員のコロンビアトップ氏に「車椅子に座ったままジョイスティックコントロールで運転できる車のわが国での可能性について」質問をしてもらい、「保安基準に適していれば問題はない」「障害者の方が生活が便利になられるということであれば実現の方向で運輸省としても積極的に取り組んでいきたい」との回答を得た。
つまり、法律の条文を変える必要はなく、その運用方法(解釈)を広げることによって十分可能であることがわかったのである。
しかも、運輸省の最高責任者から「積極的に取り組む」という答弁があった以上始めるしかない。
日本での認可が出ればすぐに実車を走らせようと同時並行的に車両の調査も進めていた。アメリカの自立生活センターにジョイスティックコントロールカーの改造をしている会社の紹介を依頼し、実際に紹介された数社に早速カタログの送付をお願いして車種の選定にとりかかっていた。
左ハンドル、車両が大きいなど若干の問題点は考えられたが、アメリカのジョイスティックコントロールカーを選択したのは、次の理由からである。
?@日本とアメリカの車両構造の安全基準はほぼ同じなので、アメリカの安全基準をクリアしている改造車は日本の安全基準もクリア可能
?A日本の諸外国に対する政策から判断すると、認可について最も担当省庁と話がしやすいのはアメリカ車である
?B北欧諸国より輸入経費が安い
カタログを送付された数社のなかでもアナフィールド社の改造する車は完成度が高いように思われた。特にジョイスティックによる運転装置だけでなく、ワイパー、ライト、エアコン等の周辺機器類の操作が重度の障害者でも使用可能な多くの補助装置を取りそろえている。実車を輸入するなら、アナフィールド社の改造車が一番という結論に達した。
交渉を続けてきた運輸省とは「アメリカの安全基準をクリアしていれば基本的に問題はない」とわれわれの思っていた通りの回答であった。しかし、「そのことを証明する書類または詳細な設計図」の提出を求められた。早速、アナフィールド社へその旨を連絡したところ、「代理店でもないところにそのような書類を出すことはできない」との回答が来た。そこで実車を輸入し、それに証明書を添えて認可申請をすることで運輸省とは合意に達した。
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